83 三本足のきつね
83 三本足のきつね
大正の頃、まだこのあたりには猟師がいて狐や雉をうっていました。
芋窪の山に猟師が仕掛けた爆弾で、前足をやられた三本足のきつねがおりました。ほとんど人前に姿を見せないきつねも、三本足では神通力も思うようにきかないのか、化かすこともなく村人は時々その姿を見かけることがありましたが「三本足のきつね」といって気味悪がっていました。けれどとても利口なきつねでした。
ある大雪の時、青梅橋の鉄砲うちの名人がこの三本足のきつねを見つけて追っかけました。その逃げ足の早いこと、そして逃げながら、大きなしっぽで雪の上の足跡を消して行ったのです。でも必死に原山まで逃げたのですが、とうとううたれてしまったそうです。
(『東大和のよもやまばなし』p181)